第４話：「地震に強い家」を暮らしの提案へ。総務が仕掛ける展示場防災フェス
- 登場人物
- 前田： ○×住宅株式会社 総務部 安全衛生管理担当。社内訓練のマンネリ化と、展示場イベントの企画枯渇に悩む実務家。
- PORT担当： PORT プロジェクト担当。総務の業務を「コストセンター」から「ブランド価値向上」へ転換する視点を提案する。
【モデルケース】
住宅メーカーの総務担当者様との会話シミュレーション。社内訓練のマンネリ化と展示場集客の課題を、「在宅避難体験」を通じて一挙に解決する、総務主導の新しい防災イベントのご提案です。
PORT担当
本日はお時間をいただきありがとうございます。事前にメールで、社内の安全管理体制の強化と、展示場での来場者向け施策の両面で課題をお持ちだと伺いました。総務部として多岐にわたる業務でお忙しいかと思いますが、まずは前田様が一番『頭が痛い』と感じていらっしゃる点からお聞かせいただけますか？
前田
ええ、正直なところ悩みは尽きないのですが……一番は『温度差』ですね。
弊社は『地震に強い家』を売りにしているメーカーです。ですから社員も防災意識が高いかというと、実はそうでもなくて。
年1回の防火訓練もやっていますが、現場の社員にとっては『忙しいのに面倒な行事』でしかないんです。ヘルメットを被って点呼をとって終わり、という形骸化した状態をなんとか変えたいのですが、総務側にも新しいネタがなくて困っています。
PORT担当
なるほど。非常によくあるケースです。日常業務が忙しいと、どうしても安全行事は後回しにされがちですよね。
一方で、もう一つの課題である『展示場イベント』についてはいかがでしょうか？ こちらも防災と絡めた企画をご検討中とのことでしたが。
前田
はい。週末ごとのイベント集客が必須なのですが、焼きそばや風船配りといった企画ばかりで、完全にマンネリ化していまして。
営業部門からは『もっと自社の耐震性能をアピールできるイベントを総務で考えてくれ』と言われるのですが、専門的な話をするとお客様が引いてしまう。
『地震に強い』というハード面の強みを、どうすればお客様に楽しく、かつ切実なものとして伝えられるのか、その翻訳の仕方が分からないんです。
PORT担当
その『翻訳』こそが重要ですね。
実は、今の2つの悩み――『社内訓練の形骸化』と『展示場イベントのネタ切れ』は、セットで解決できる可能性があります。
例えば、展示場（モデルハウス）を舞台に『在宅避難シミュレーション』を行うのはいかがでしょう？
『地震が起きても自宅で安全に過ごせる』というのは御社の住宅の最大の強みですよね。それを、お客様と一緒に社員も体験するんです。
前田
在宅避難のシミュレーション、ですか？
単に揺れに耐えるという説明ではなく、『揺れた後の生活』を見せるということでしょうか。
PORT担当
その通りです。
耐震性能が高い家なら、避難所に行かずに自宅で生活が続けられます。では、電気やガスが止まった時に、御社の高断熱住宅ならどれくらい快適なのか。備蓄食料はどう保管・調理するのか。
これを『キャンプごっこ』のような形式でイベント化します。
社員様にとっては、自社商品の強みを再確認する『生きた訓練』になりますし、お客様にとっては『この家なら家族を守れる』という具体的なイメージ、つまり信頼感につながります。
前田
なるほど！ 『キャンプ』という切り口なら、堅苦しい防災訓練とは違って、お子様連れのお客様も楽しみながら参加できそうです。
それに、営業担当の方が専門的な性能をお伝えするのとあわせて、総務として『暮らし方の視点』から防災を紹介できれば、お客様にはより立体的に弊社の魅力を感じていただけそうです。
PORT担当
おっしゃる通りです。総務部様が主導することで、単なる営業活動ではなく『企業の社会的責任（CSR）』としての色が出ます。それは地域の方への安心感にもつながります。
社内の安全教育と、対外的なブランディングを兼ねた『防災・減災フェスタ』として、展示場を活用する企画を立ててみましょうか？
前田
ぜひお願いします。
それなら『総務が現場の営業支援もしてくれた』という社内評価にもつながりそうですし（笑）、何より私自身、企画していてワクワクできそうです。まずはどんなプログラムが可能か、具体例をいただけますか？
ご提案
「社内訓練×展示場集客」を兼ねた在宅避難体験イベント企画
- プログラム案： モデルハウスを活用した「ライフライン停止時の断熱性体験」「ローリングストック活用術」などのワークショップ詳細
- ダブル効果の提示： 社内向け：形式的な訓練からの脱却、自社商品知識の深化（社員教育）／社外向け：「災害に強い○×住宅」のブランド体験、集客フック
- 運営フロー： 総務部が主体となりつつ、現場負担を最小限にする運営体制案