第1話:「水×防災」で地域とつながる。社員が動かす参加型CSRイベント

- 登場人物
- 山本: ○×飲料株式会社 CSR推進部 主任。既存CSR活動の限界を感じ、来年度に向けて新たな取組を模索している。
- PORT担当: PORT プロジェクト担当。課題を抽出し、企業の強みを活かした社会貢献プログラムを提案する専門スタッフ。
【モデルケース】
飲料メーカーのCSR担当者様との会話シミュレーション。一過性の活動からの脱却を目指し、「水×防災」をテーマに社員が主体的に地域と関わる、持続可能なCSRイベント企画のご提案です。

PORT担当
本日はお時間をいただきありがとうございます。事前にメールで拝見しましたが、現在来年度に向けた新しいCSRプログラムをご検討中とのことですね。まずは、山本様が現在感じていらっしゃる率直な課題感からお伺いしてもよろしいでしょうか。

山本
はい。正直に申しますと、今の活動がどうしても『一過性』になってしまっているのが一番の悩みなんです。弊社は飲料メーカーですので、水源保全の植樹活動や、地域の清掃活動などは以前から続けています。ですが、どうしても『その日やって終わり』になりがちで……。社内外に対して、継続的なインパクトが残せているのか疑問を感じています。

PORT担当
なるほど。『点』での活動になってしまい、ストーリーとしてつながりが見えにくいという感覚でしょうか。
もう一点、事前に『社員の方々の参加意識』についても触れられていましたが、そのあたりはいかがですか?

山本
ええ、そこも頭の痛いところでして。
会社から『行ってこい』と言われて参加する社員が多く、どうしても受け身なんです。『業務の延長』という感覚が強くて、自分たちの活動が社会の役に立っているという実感が薄いようなんです。
もっと社員が主体的に動けて、かつ地域の方とも自然に交流できるような……そんな『顔の見える活動』にシフトしたいと考えています。

PORT担当
よく分かります。トップダウンのCSR活動では、どうしても『やらされ感』が出てしまいますよね。
そこで、今回は『防災』というキーワードでご相談いただいたわけですが、具体的に何かイメージされている取り組みはありますか? 御社の場合、『水』というライフラインを扱っていらっしゃるので、防災との親和性は非常に高いと感じますが。

山本
そうなんです。おっしゃる通り、災害時の飲料水提供協定などは自治体と結んでいますが、これはあくまで『発災後の物流』の話です。
私がやりたいのは、平時の段階から地域の方々と接点を持つことです。
ただ、防災訓練というとどうしても堅苦しくて、社員も地域の方も集まりにくい。どうすれば『水』という弊社の強みを活かしつつ、地域の方に喜んでもらえる防災活動になるのか、そのアイデアがなくて困っているんです。

PORT担当
その視点は素晴らしいですね。協定だけでなく『平時のつながり』を作りたい、という想いは非常に重要です。
実は最近、CSR活動として『防災イベント』を取り入れる企業様が増えています。ただの訓練ではなく、フェスのような形式で、御社の社員様がブースの運営側に回るというスタイルです。
例えば、御社の社員様が講師役となって、『災害時の水の備蓄量』や『給水拠点までの運び方』を地域の方にレクチャーする、といった企画はいかがでしょうか?

山本
社員が講師役、ですか。それは考えたことがありませんでした。
確かに、ただ清掃活動をするより、自分たちの商品知識(水のこと)を活かして地域の方にアドバイスするほうが、社員も『専門家』として誇りを持てるかもしれません。

PORT担当
おっしゃる通りです。社員様にとっては『自社の価値の再認識』になりますし、地域の方にとっては『○×飲料さんが近くにいてくれる安心感』につながります。
双方向のコミュニケーションが生まれるので、一過性ではなく、毎年恒例の地域イベントとして定着させやすいのも特徴です。
もしよろしければ、御社の『水』というテーマを軸にした、社員参加型の防災イベント企画案をいくつか構成してみましょうか?

山本
ぜひお願いします!
『水と防災』なら、来年度の目玉として経営層にも説明がつきそうですし、何より社員が楽しんで参加できそうな気がします。まずはどのようなプログラムが可能なのか、たたき台を見せていただけますか。
ご提案
「水×防災」をテーマにした、社員主導型CSRイベント企画
- コンテンツ案: 「ペットボトルランタン作り」や「水運びレース」など、飲料メーカーの強みを活かした体験型プログラム
- 社員の役割定義: 運営スタッフとして主体的に関われる体制づくりと、地域との交流を促す仕組み
- 期待効果の整理: 地域ブランディングおよびインナーブランディング(社員エンゲージメント)の両面からのメリット